監訳者・監訳協力・総監修のことば
監訳者と監訳協力
〔監訳者〕
田中平三
一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センター 理事長
東京医科歯科大学 名誉教授
独立行政法人国立健康・栄養研究所 (現・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所) 元・理事長
門脇 孝
東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 特任教授
虎の門病院 院長
久代登志男
一般財団法人ライフ・プランニング・センター 理事長
日野原記念クリニック 所長
篠塚和正
武庫川女子大学薬学部 薬学部長・教授
山田和彦
女子栄養大学栄養学部 教授
独立行政法人国立健康・栄養研究所 (現・国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所) 元・食品保健機能プログラムリーダー
神村裕子
公益社団法人日本医師会 常任理事
尾﨑治夫
公益社団法人東京都医師会 会長
公益社団法人日本医師会 健康食品安全対策委員会 委員長
岩月 進
公益社団法人日本薬剤師会 常務理事
〔監訳協力〕
田島 眞
実践女子大学 名誉教授 前学長
和田政裕
城西大学薬学部医療栄養学科 教授
長岡 功
順天堂大学医療科学部 特任教授
長村洋一
藤田保健衛生大学 (現・藤田医科大学) 名誉教授
安西恵子
株式会社ルンル 代表取締役社長
東京薬科大学非常勤講師
総監修のことば
新型コロナウイルスの感染が続く中で,エビデンスの不確かな感染の予防効果を標ぼうする健康食品やサプリメントが世の中に出回りました。しかし,健康食品・サプリメントは医薬品とは異なり,エビデンスに基づいた有効性の評価はほぼ行なわれておらず,疾病の診断,治療又は予防にかかわる表示を許されていません。
一方で,私たち医療従事者は,健康食品・サプリメントの「有効性」の有無に関する情報のほか,製品としての品質や安全性,他の食品や医薬品などとの相互作用にも関心を持っています。実際に,医療従事者は診察室や薬局のカウンターにおいて,健康食品・サプリメントによる健康被害を受けた患者さんに遭遇することは少なくありません。
また,健康被害として表面化しなくとも,治療効果が思わしくない場合,健康食品・サプリメントの摂取がその原因
になっていることも考えられます。
しかし,健康食品・サプリメント製品の種類がきわめて多いこと,患者や家族が健康食品・サプリメントの使用について医師等に知らせない傾向があることが問題を難しくしています。また,健康食品・サプリメントについては,医療従事者といえども必ずしも十分な知識を持っていないのが実情です。
このような状況は,むろん看過できるものではなく,医療従事者側からも様々な取り組みが行なわれています。たとえば,日本医師会では,「健康食品安全対策委員会」を設置し,運営している「健康食品安全情報システム」の充実を図るとともに,国民のヘルスリテラシーの向上等を目指した具体的な提言を行っています。
本書の発刊は,こうした医療従事者の努力を力強くサポートするものです。本書のもととなる米国の「Natural Medicines」は,アメリカを始めとする世界中の研究者が,健康食品・サプリメントに関する文献を系統的にレビューした成果をまとめたデータベースです。業界・企業にも消費者団体にもおもねることなく,科学的根拠のみに基づいて,有効性,安全性,医薬品との相互作用,健康食品・サプリメントを含む他の食品との相互作用などをまとめています。
このデータベースは20 年以上の実績を持ち,FDA(米国食品医薬品局)をはじめ,英国,カナダ,オーストラリアほか各国の政府機関,医療施設などで広範に採用されています。わが国においても,国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の安全性・有効性情報」サイトに,あるいは健康食品・サプリメント関連の専門書やデータベースに,しばしば「Natural Medicines」が引用されています。
日本版書籍の初版は2006 年5月に刊行され,その後第6版までアップデートが続けられています。今回の第7版も日本医師会,日本歯科医師会,日本薬剤師会がともに総監修しております。
簡潔に読みやすく編纂された本書が,全国の医療従事者の手元に置かれ,日々の診療や調剤等の現場で活用されることで,国民のみなさまの健康の向上に資することを願ってやみません。
2022 年4月吉日
公益社団法人 日本医師会
会長 中川 俊男
公益社団法人 日本歯科医師会
会長 堀 憲郎
公益社団法人 日本薬剤師会
会長 山本 信夫